アリマン乳業有限会社

●アリマン乳業有限会社とは

アリマン乳業有限会社は1978年に宮崎県児湯郡川南町で牛乳・生乳の販売・卸をする会社として創業しました。


酪農家と消費者をつなぎ、未来で共に笑いあえる乳業メーカーを目指しており、創業以来「生乳の価値を上げる」ことを目的に、今では当たり前となった生乳100%の牛乳をつくることに始まり、低温殺菌製法を取り入れたり、1軒の酪農家で作る酪農家ブランドの立ち上げを行っています。

アリマン乳業の設立理由であり、設立以来のテーマである『生乳の価値を上げる』。
3代にわたってそのテーマに真摯に取り組んできました。

事業を立ち上げた約50年前の牛乳消費の主流は脱脂粉乳でした。
水分を調合して、必要な時に必要な分だけ作れる脱脂粉乳。
薄められた生乳を、牛乳と呼んで販売する事に初代の社長は違和感しかなかったそうです。

さらに、周りの物価はどんどん上がっていくのになかなか生乳の価格は上がらないという状況になり、そこで始めたのが生乳100%の牛乳を作る会社であるアリマン乳業でした。

2代目の社長に代替わりした頃には、市場に流通するほとんどの牛乳は生乳100%になっていました。
それでもまだ、牛乳は物価の優等生と揶揄されるほど価格は横ばい。
そこで2代目が目をつけたのが、牧場の生乳の味を出来るだけ残す低温殺菌製法でした。
しかし低温殺菌製法は時間と手間がすごくかかるため、30年前の当時は低温殺菌製法に手を出したら5年で潰れると言われたそうです。

低温殺菌製法を始めて20年後、会社は潰れはしませんでしたが大赤字になっていました。
そして、この赤字企業は3年持たないと言われた3代目が7年前に会社を継ぎ、様々な取り組みを行いながら現在に至っています。


●酪農経営難問題と廃棄問題に向き合う

酪農の生乳廃棄問題は、昔から酪農と乳業の界隈で起きている問題です。
直近では新型コロナウイルス感染症による休校や外出自粛などもあり、学校給食やスーパーの牛乳の消費が落ち込み、余った生乳を廃棄するといった問題が顕著になりました。

また、飼料高騰や生乳廃棄、子牛価格の下落が続く中で、生乳価格は上がりきらないまま少子高齢化で牛乳を消費する子どもたちが減り続け、次々に離農者が増えていきました。
2022年だけでも全国の酪農家のうち700件が離農・廃業をしています。

物価高騰の影響で牛乳自体の価格は上がっていますが、生乳の価値が上がっているかといえばそうではなく、酪農家に入るお金はほとんど上がっていません。
酪農家が満足に経営するために値上げを実施すれば、牛乳が売れなくなり更に価値が下がります。

こうした問題を解決するために、アリマン乳業は積極的に生乳の価値を上げる活動をしています。

酪農家を一軒にしぼって製造を行い、酪農家自身が価格を決めて販売を行う酪農家ブランド化。
製造工程で重油や灯油を使わないようにする電気殺菌。
そして、生乳も大量に作るのではなく受注生産の形で受けることにより、ロスを最小限に抑えています。


また、生乳の価値を酪農家が採算が取れるように出来るまで引き上げられる可能性が高いと考えているのが廃棄物の再利用です。
乳製品の製造において廃棄物の代表的なものはホエイです。
チーズの製造の場合、生乳の約3割がチーズ、残りの約7割の水分がホエイです。

ホエイはたんぱく質を豊富に含んでいるのでプロテインなどにも使われており、ホエイを乾燥させて粉にして販売できますが、買取価格はキロあたり数円~数十円です。
それに対して粉にするための機械は数千万円と高額なので、小規模事業者では元が取れず廃棄せざるを得ないのが現状です。
アリマン乳業は、チーズを作る際に出る副産物のホエイを様々な商品にすることで価値を高め、酪農家の経営問題・廃棄問題の解決に寄与できる活動を続けています。

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