アップサイクル食品とは?フードロス削減の効果や具体例を紹介!

リサイクルでもなく、リユースでもなく、リデュースでもない。アップサイクル商品は、よりポジティブでクリエイティブなエコ活動として、世界中で熱い注目を浴びています。

従来の廃棄物から生み出されたハイグレードなアップサイクル食品は、フードロスや環境の改善にも寄与しているのです。

今回は、世界と日本のアップサイクル活動や商品化の実例などを挙げながら、サステナブルな食のあり方について考えてみましょう。

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※なお本記事は、弊社から監修者に依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しています。

【監修者プロフィール】

大西千晶 
日本農業株式会社代表取締役。一般社団法人日本農業代表理事。株式会社ベルク社外取締役。
大学在学中の20歳の時に起業し、京都府亀岡市・南丹市・大阪府箕面市で農場を経営している。
就農者を増やし、経済の発展だけでない新しい価値を生み出すことを理念とし、農場と食を近付ける六次産業を推進し、農家直営スープ専門店「たんとスープ」を立ち上げ、店舗展開をスタート。
農林水産省ビジネスコンテストINACOME最優秀賞など多数の賞を受賞。
URL:https://nihonnou.com/

 

アップサイクルとは?

アップサイクルとは、廃棄物に新たな価値を付け加えて品質を向上させたり、新しい用途の商品へと再生させたりすること。 使用済みの商品を再加工して活用するリサイクルや、別のものに作り変えるリユースに対し、アップサイクルは今まで使われていなかったものに焦点を当て、より価値のある商品へアップグレードさせるという特徴があります。

新しいアイデアで素材のポテンシャルを向上させ、廃棄物やフードロス問題の削減にも貢献するアップサイクル商品は、サステナビリティを実現する有力な取り組みです。まずは食の循環エコノミーを支える4つのエコ活動について簡単に説明していきましょう。

リサイクル

リサイクルは、使用済みの物資や資源を集め、再利用可能な素材に加工して新たな製品や材料を作るプロセスです。 資源の再利用によって廃棄物の削減や自然資源の節約を実現します。

リサイクル例

プラスチックボトルや紙製品が、再生プラスチックや再生紙に加工されて再利用されたりしています。

リユース

リユースとは、使用済みの物をそのままの形で、新たな目的に利用する概念です。 リユースすることにより物の寿命が延び、廃棄物が減少します。

リユースの例

使わなくなった商品をフリーマーケットに出して再利用を促したり、古いTシャツを掃除用の布として使ったりします。

リデュース

リデュースとは、消費を減らすことにより、廃棄物を生み出さないようにする活動のことです。 資源の使用量を減らすことで、廃棄物の総量を削減しようとする試みです。

リデュースの例

買い物をするときに使い捨てのショッピング袋を使用せず、繰り返し利用できるエコバックを持参します。

アップサイクル

不要とされていた素材に新しい価値を加え、元の状態よりも質・価値を向上させること。 廃棄されそうな食材を利用して新しく創造的な料理を生み出すこともアップサイクルです。

アップサイクルの例

パンの耳を使って新しい種類のスナックを開発したり、パンプディングなどの別の料理の材料として活用したりします。

アップサイクル食品とは?

衣料品や工業用品などをはじめ、食品の分野でもさまざまなアップサイクル商品が登場しています。 本来であれば食品加工の過程で捨てられてしまっていたリンゴの芯や野菜の絞り粕などが、おいしく栄養価の高い製品に見事にアップグレード。

食べられるのに捨てられていた部分や、製造途中で廃棄されてしまう食品のほか、味には全く問題ないのに規格外とされて一般の流通に乗らずに廃棄される食品など、フードロス問題は世界にあふれています。 現在、人間が消費するために生産された食料のうち、およそ3分の1が世界中で失われているといわれており、日本だけでも年間で523万トンの食糧が廃棄されています。 近年は環境意識の高まりもあり、廃棄量に若干の改善がみられるものの、まだまだフードロスは深刻な問題であり、世界をおびやかすリスク要因です。

そんな中、食品のアップサイクルが、フードロスを改善するための有効な手段として、大きな注目を浴びています。 廃棄予定の食品から新しい食品を生み出したり、革製品や美容製品などの食べ物以外の製品に活用したりと、アイデア次第で新しい商品が生まれるアップサイクルは、未来の社会につながるイノベーションといえるでしょう。

参照:

https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/230609.html

https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/attach/pdf/230609-1.pdf

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_131.html

世界のアップサイクル食品

ReGrained(アメリカ)

ビール醸造後に残る廃棄穀物を利用して、全粒粉の3倍の食物繊維を含む栄養価の高い穀物粉末を製造。 健康的でおいしいスナックを販売しています。

参照:

https://foodtech-japan.com/2021/09/10/regrained/

PeelPioneers(オランダ)

ジュース製造過程で出るオレンジの皮を回収して、化粧品や日用品に使用するコールドオイル、機能性繊維に加工。 創業からわずか2年で1,000万ユーロの資金を調達しました。

参照:

https://ampmedia.jp/2021/01/18/circular-innovation/

Seven Bro7hers Brewing Co.(イギリス)

シリアル製造販売で有名なケロッグと協力して、規格外のシリアルを利用した限定版ビールを製造。 食品廃棄を減らしながらも、味と品質を維持する挑戦を続けています。

参照:

https://globe.asahi.com/article/12666650

アップサイクル食品によるメリット

世界中の国々で、地球にやさしく、地域社会や経済にもポジティブな影響を与えるアップサイクルプロジェクトが推進されています。環境保護、経済発展、社会貢献など、さまざまな効果が期待されていますが、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、食品のアップサイクルに焦点を当てて紹介していきます。

環境へのメリット

廃棄物を削減する

不要になった食材を新しい製品へとグレードアップすることで、食品廃棄物の総量を減らせます。 また、食品の廃棄処理をする際に発生する温室効果ガスの排出量も削減することができます。

エネルギー消費を削減する

アップサイクル商品は、エネルギー消費を抑えて、低コストで製造することができることも特徴のひとつです。 同じエコロジー活動でも、元の製品を原料に戻すリサイクルは大きなエネルギーを要しますので、より少ないエネルギーで生産できるアップサイクル食品は、よりエコロジーな活動といえるでしょう。

資源を温存する

使用されなかった食材や廃棄予定だった食品を有効利用することで、過剰に資源を消費することを避けられます。 本当に必要な量だけを消費して、サステナブルな資源の循環システムを促進することは、天然資源の枯渇を防ぐためにとても重要です。

生物多様性を保護する

アップサイクルは資源の有効活用を促し、生態系のバランスを維持することにも貢献します。 土地を過剰に利用することなく、農地を適切に休ませると、土壌の栄養が回復して健康な環境が保持できるように。 適切なサイクルで土地を使用することで、土壌の健康が保たれ、結果として生物多様性の保護につながります。

経済へのメリット

コストを削減する

通常、食品加工物を作る際には原材料を購入する必要があります。 しかし、廃棄予定だった食材を利用することで、原材料コストを削減することができます。

新たな収益源の確保

アップサイクルには独自性やストーリー性がある製品が多いのが特徴。 それにより商品に付加価値が生まれ、新たな市場や収入源を生み出す可能性があります。

社会へのメリット

雇用を創出する

アップサイクル事業が発展することで、新しい雇用の創出が見込まれます。 特に地域社会においては、小規模事業者や農家に新たなビジネスを生み、地元の活性化に大きく貢献します。

食に関する意識が向上する

食品のアップサイクル活動を通じて、国や地域社会が直面しているフードロス問題や環境保全に対する意識を高めることができます。

地域のつながりを強化する

地域の食文化や伝統を守るためには、地元コミュニティを強化する必要があります。 地域内でアップサイクル活動を行うことで、地域活動の活性化や住民同士の連携が深まると、地元愛が育まれ、コミュニティの結束も強くなります。

アップサイクル食品と未利用資源の違い

アップサイクルとは、廃棄予定の食材を再利用して新しい製品を作ることです。未利用資源とは、食品を作る際に利用されない物そのものを指しており、そうした未利用資源から新たに価値のあるものを生み出すプロセスをアップサイクルと呼んでいるのです。

未使用資源とアップサイクル食品の関係を示す例を挙げてみましょう。

コーヒー豆のアップサイクル

コーヒーチェリーからコーヒー豆を取り除く工程で出る「カスカラ」という外側の果皮と果肉を使い、新たな商品が生まれています。

食品廃棄の削減に適うサステナブルフードであることはもちろん、コーヒーの副産物でありながら、カフェインをほぼ含まず、抗酸化作用が高いポリフェノールを豊富に含んでいるなど、栄養価的にもすぐれた商品として話題になっています。

・未利用資源:コーヒー豆の生産過程で出るカスカラと呼ばれる廃棄部分

・アップサイクル食品:カスカラティー

参照:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000058169.html

麦芽粕のアップサイクル

ビールを醸造する際に出る麦芽粕(ビール粕)を活用して作られたパンやクッキーなどが人気です。 ビール粕には、通常の小麦の数倍の食物繊維が含まれ、高タンパクとあり、健康志向の高い人たちの支持を集めています。

・未利用資源:ビールの醸造過程で出る麦芽粕(ビール粕)

・アップサイクル商品:ビール粕クッキー、ビール粕パン

参照:

https://ideasforgood.jp/2018/11/13/brewery-super-flour/

http://tononews.com/blog-entry-11503.html

アップサイクル食品の具体例は?

フードロス問題だけでなく、地域社会の悩みや課題にも同時にアプローチするアップサイクル食品が日本各地で続々と登場しています。 地域を代表する特産品から生まれたアップサイクル食品は、素材の品質の高さや味の良さも大きな魅力。 おいしい食事を楽しみながら地域経済も応援できる、人気のアップサイクル食品をご紹介します。

農作物のアップサイクル

穀物・野菜・果物などの農作物は日本の食卓になくてはならないものですが、野菜や果物などは傷むのも早いため、生産量が上がるほどフードロスが増えていきます。食品廃棄にかかる手間や費用をアップサイクル商品の開発に転換することに成功し、地域の新しい特産品となった食品例をご紹介します。

iiFOODのアップサイクルフード マスタード食べつくし5点セット【4,057円(税込)】

爽やかな酸味が魅力の「ぴりまるけ」マスタードは、栽培過程で間引かれる未熟なぶどうを活用したアップサイクルフードです。

一般的なマスタードは主にカラシナの種と酢を原料としていますが、マスタードづくりの起源を紐解くと、酢ではなく果汁を使用して作られています。 「ぴりまるけ」は、マスタードの伝統製法に独自のアイデアを組み合わせ、山梨県名産のぶどうの未利用資源を活用。 無駄を削減し環境に優しい製品作りを実践しています。

また、「ぴりまるけ」マスタードには、山梨県のもうひとつの名産品であるワイン製造から出る副産物、ワインパミスも利用。 ワインパミスと未熟ぶどうの利用によって、よりマイルドで豊かな風味のハイグレードなマスタードが誕生しました。

なお、マスタードづくりに使用するカラシナの種は山梨の耕作放棄地で栽培し、地域の農業活動の再活性化にも大きく貢献しています。 「ぴりまるけ」マスタードを選ぶことは、環境へ配慮し地域社会へ支援することを意味しています。「マスタード食べつくし5点セット」の詳細を見る

iiFOODのアップサイクルフード UMEUME3本セット【3,110円(税込)】

綾部市には650本もの梅林があり、その見事な開花を毎年「うめ梅まつり」で楽しむことができますが、その華やかな祭りの裏では、地元ならではの悩みがありました。高齢化や人手不足により、完熟した食用梅の収穫に手が回らず、落ちて腐った実がせっかくの景観を損ねたり、害獣・害虫の問題を引き起こしたりしていたのです。

こうした問題の解決の糸口を探り、ロスされていた梅の商品開発に乗り出したのがWAIRA TAMBA。 取り扱いやすい青梅ではなく、管理の難易度は高まるものの梅の魅力を最大限に引き出せる完熟梅をアップサイクルすることに成功しました。

なるべく自然に近い良い状態で完熟させるために樹上でしっかり光を当てて1か月ほど追熟させ、気候によって変動する梅の完熟タイミングを何度も何度も確認していきます。完熟後は1週間で一気に収穫していきますが、これにも毎日2度から3度の状態確認が欠かせません。

こうして、手間暇かけて育てられた完熟梅は杏のような深いコクとマンゴーのような芳香な香りが特徴。 炭酸や焼酎で割ったり、ヨーグルトアイスクリーム、パンケーキにかけたり、楽しみ方は自由自在。ひと口含むだけで、おいしさの違いを実感できるはずです。

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海産物のアップサイクル

周りを海に囲まれた日本には、魚介類を利用した伝統的な食べ物がたくさんあります。 海産物のアップサイクルでは、新しい技術やアイデアをプラスして、海産物の余剰部分や廃棄されがちな部位を再利用しています。 地域の漁業と連携し、捨てられる海産物を価値ある商品に変えることで、地域経済の活性化にも大きく貢献しています。

iiFOODのアップサイクルフード 新湊産 するめいか・ホタルイカシリーズ3種セット(塩辛・黒作り・しょう油漬け)【3,600円】

スルメイカやホタルイカは、海中の定まった場所に網を設置して魚介類を捕獲する定置網漁が活用されています。定置網漁は効率の良い漁獲方法ではありますが、ストレスによる共食いで身に穴が開いた「穴あき」と呼ばれるイカや、網で採られる際に身に傷ができたイカなど、市場に出せない「B品」のイカが出てきます。 そうしたB品が増えると、せっかく漁をしても売上につながらず、漁師やその関係者の経済状況を圧迫してしまうことが、漁村の大きな課題となっていました。

そんな商品を買い取って塩辛や富山県の郷土料理「黒作り」に加工する取り組みを行っているのが「京吉」です。海産物は、海からもらった大切な命。 海の恵みをB品として無駄にしてしまうのではなく、伝統的な地元グルメにアップサイクルすることで、海のサステナビリティと漁師さんの安定した収入の双方を守っています。

「新湊産 するめいか・ホタルイカシリーズ3種セット(塩辛・黒作り・しょう油漬け)」の詳細を見る

まとめ

環境問題を改善するだけでなく、廃棄物に新たな価値を加えたより良い商品として生み出されたアップサイクル商品は、地球の健康も人の健康も守る新しい食のあり方を提案する、サステナブルフードの代表格です。

このクリエイティブでポジティブなエコ活動は、廃棄物の削減、エネルギー消費の低減、資源の温存、生物多様性の保護など、そのメリットは数え切れません。アップサイクル食品を選ぶことは、地球を応援することにつながります。日本のアップサイクル食品を支援する「iiFOOD」を活用して、毎日の食卓から食のサステナブル活動に参加してみましょう。

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