ローカルフードとは?期待できるメリットや商品の具体例を紹介!

「ローカルフード」という言葉を聞いて、旅先で食べる地元の郷土料理を思い浮かべる人も多いでしょう。

しかし、環境や社会、経済などがシステマティックに変革していく中で、地域固有の昔ながらのローカルフードが失われつつあります。ローカルフードは、日本が抱える数多の問題を解決に導き、サステナブルな食を実現するための大切な鍵。

今回は、ローカルフードを取り巻く環境や具体的な取り組みをご紹介しながら、持続可能なフードサイクルについて考えていきましょう。

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※なお本記事は、弊社から監修者に依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しています。

【監修者プロフィール】

大西千晶 
日本農業株式会社代表取締役。一般社団法人日本農業代表理事。株式会社ベルク社外取締役。
大学在学中の20歳の時に起業し、京都府亀岡市・南丹市・大阪府箕面市で農場を経営している。
就農者を増やし、経済の発展だけでない新しい価値を生み出すことを理念とし、農場と食を近付ける六次産業を推進し、農家直営スープ専門店「たんとスープ」を立ち上げ、店舗展開をスタート。
農林水産省ビジネスコンテストINACOME最優秀賞など多数の賞を受賞。
URL:https://nihonnou.com/

ローカルフードとは?

地域の農家や生産者が作った新鮮な果物、野菜、肉、魚など、地域の食材を使用して作った食品のことを「ローカルフード」と呼んでいます。

その地域でしか食べられない新鮮な郷土料理は旅の大きな楽しみのひとつですが、その土地の食事に舌鼓を打つことで、知らないうちに地域にも貢献しているのです。 ローカルフードを食べることは、地元の農業や漁業などの生産者の支援、食品の鮮度の向上、食品輸送の環境負荷の低減など、地域の経済と環境を支援することにつながります。

日本には多様なローカルフードがありますが、残念ながら環境、経済、社会などのさまざまな理由から、その数は年々少なくなってきています。 地域ならではの郷土料理を後世に残していくためには、地産地消を代表とするサステナブルなフードシステムを整えて、より多くの人にローカルフード推進の重要性を伝える必要があります。

日本に多様な食文化が根付いているワケ

日本には、地域ごとに名産品や郷土料理が多数あります。 北は北海道、南は沖縄まで広がる長い島国であることや、山岳地帯や平野、沿岸地域など多様な地形があること、各地域で気候が異なることから、バラエティ豊かな食文化が生まれました。

例えば、北海道ではジャガイモやサーモン、九州ではサツマイモや豚肉など、地域で異なる種類の農畜産物や海産物が育まれ、その土地ならではのローカルフードが楽しめます。

日本の長い歴史の中で、各地で独自の文化や伝統が育まれてきたことも、食の多様性が増した理由のひとつ。 茶道が発展した京都では抹茶を使用した料理ができるなど、地域文化に根差した食品を独自に発展させてきました。

そうして生まれたローカルフードは、地域の祭りや行事で振る舞われたり、地元のPRに活用されたりしながら、時代を超えて受け継がれ、守られてきたのです。下記に有名なローカルフードの例を挙げてみましょう。

北海道

北海道は海に囲まれているため、新鮮な海産物を使った料理が豊富です。 ジンギスカン(羊肉のグリル)や、ジャガバターも有名です。

京都

京都は抹茶の産地としても知られており、茶畑が広がる景観が見られます。抹茶を使用したさまざまなスイーツや飲み物があります。 抹茶パフェや抹茶アイスクリームは観光客に大人気。

沖縄

ゴーヤ(苦瓜)を使った炒め料理、ラフテー(沖縄風豚の角煮)など、沖縄ならではの素材や調理法で作られた料理が有名です。 泡盛という地元の酒も人気。

 

ローカルフードのメリット

地元の食べ物を食すことは、郷土料理を守るというメリットだけにとどまりません。 社会的にも環境的にも、そして個人的にも、数多のメリットがあるのです。 それぞれの側面にフォーカスしながら、ローカルフードのメリットを見ていきましょう。

ローカルフードの個人的メリット

地元で収穫されたばかりの食材を使用するローカルフードは、鮮度や栄養価が高く保たれています。 食材を長距離運搬することなく、収穫後すぐに市場や食卓に並ぶため、味や栄養が損なわれず、よりおいしく健康的に食事が楽しめます。

また、昔ながらの農法や漁法を活用するなど、農薬や化学物質を使用しないサステナブルフードも多いことも大きなメリットです。

ローカルフードの環境的メリット

ローカルフードの原点は、その土地や気候に合った食べものを美味しくいただくことです。生物学的・農学的に無理なアプローチを導入しなくても、土地に合ったものであれば、自然においしいものが育まれます。 地産地消の概念の元、環境に優しい農業、漁業を推進すれば、土壌も水資源も息を吹き返し、サステナブルな食糧供給が期待できます。

また、地産地消では食材の輸送距離が短く、炭素排出量を減らせることも、地球にやさしい要素です。

ローカルフードの社会・文化的メリット

地元の農家や生産者から食材を購入すると、小規模農家や地域の事業者を支援することになり、地域の経済が活性化します。

また、ローカルフードを食べることは、その地域の文化や伝統を体験することでもあります。 地域特有の食材や料理を通じて、地域の歴史や文化を伝え、より多くの人に興味を持ってもらうことは、経済的にも文化的にも非常に意味があります。 その土地の食文化を多くの人が体験することは、地域住民の地元愛やアイデンティティの強化にも役立つでしょう。

ローカルフード法・条例とは?

世界各地で地球環境と食の未来を保護するためのローカルフード法・条例の提案・実施が進んでいます。 日本でも、持続可能な地域のフードシステムの確立を目指して、ローカルフード法の必要性が議論されています。 地域レベルの自給自足の実現と日本全体の自給率アップ、在来種の種苗の確保と活用、地域の農家の保護、安全な食の確保など、ローカルフード法・条例のポイントをいくつかご紹介します。

地域の種苗を確保して活用する

地域で伝統的に保管され、活用されてきた種や苗が急速に姿を消しています。その地域で盛んに作られてきた野菜や穀物は、その地域の気候や土壌に合った食糧です。化学肥料や農薬の力を借りずとも、健康でおいしい食品を育てられます。 しかし、生産者も生産量もどんどんと減り、それに伴い、地域の保有する種苗も激減しているのです。

このまま減り続け、保有する種がなくなると、その地域で農作物を作ることができなくなってしまいます。 大切な種を守ることは、日本の農業の存続を左右する非常に大切な課題といえます。 種の多様性を保ち、地域適応性の高い作物の育成を支援することは、持続可能な農業の実現に必要不可欠な要素なのです。

地域の農家や生産者を守る

農家の激減は、地産地消のシステムに暗い影を落としています。農林水産省の発表によれば、2023年の基幹的農業従事者数は116万⼈。 平均年齢は68.4歳(2022年)で、70歳以上の従事者が最も多いことから、農業人口の大幅な減少が日本の深刻な課題となっています。

日本の農業を守り、未来につなげるためには、小規模農家を含んだすべての農家を支援する大規模な政策が必要です。持続可能な方法で農業を営めるよう、地方自治体や国が一丸となって対策を立て、必要な支援を実行することが求められています。

参照:

https://www.maff.go.jp/j/kobetu_ninaite/attach/pdf/index-10.pdf

食の安全を確保する

有機農産物やオーガニック商品、ローカルフードは、健康を応援する食品の代表格。 大量生産・大量消費の時代を経て、食の選択肢が大きく広がっている今、化学肥料や農薬の使用を減らして、自然に近い形で生産された健康な食品が注目を浴びています。

食品の安全性を高めるための基準や制度を確立し、消費者に安全な食品を提供することは、ローカルフード法・条例が目指すもののひとつ。学校の給食に地元の食材を使用したメニューを提供するなど、地域の健康と経済の両方を改善するための試みが少しずつ実現しています。

環境にやさしい食を実現する

生産方法や流通方法などのあらゆる面で、より環境にやさしいフードシステムを実現しうるのがローカルフードです。 地球温暖化などの気候変動、水質・土壌汚染の軽減など、多くの点で環境の負担を減らすことができます。

食料自給率を高める

日本の食料自給率は、カロリーベースで38%、生産ベースで58%と、諸外国と比較すると非常に低い割合にとどまっています。 地域内で食料自給率が高まると、海外輸入に頼る割合が減り、食料を巡る国際的な紛争のリスクを回避することができます。 地域で食料を生産・消費できるシステム作りは、地域と国民を守る非常に大切な備えといえるでしょう。

参照:

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html

ローカルフードプロジェクト( LFP) の発足

ローカルフードプロジェクト(LFP)とは、「地域の食品産業を中心とした多様な関係者が参画するプラットフォームを形成し、地域の農林水産物を活用したビジネスを継続的に創出する仕組み」です。 プラットフォームに結集する多様な関係者が、それぞれの経営資源を活かしながら、社会的課題解決と経済的利益の両立を実現する新しいビジネスの創出を目指しています。

ここでは、2つの取り組みをご紹介しましょう。

有機農産物の冷凍食品化で地域がひとつに

京都府が取り組む有機農産物のプラットフォームが注目を浴びています。 地元の幅広い分野の専門家たちが集結し、有機農産物の冷凍商品化に向けて、加工・流通・販売を地域で行う新たなサプライチェーンを構築。 新商品の開発や新サービスの創出など、さまざまな分野で地域産業を活性化しています。

特に注目を浴びているのは、希少な有機いちごやサツマイモを使った冷凍食品の開発。 有機農産物の需要拡大や環境にやさしい農業の実践に貢献する注目のプロジェクトです。

全国的な通信販売網で地域食材を届ける「iiFOOD」

株式会社ニッセンが運営する「iiFOOD」は、大量販売による品質の低下を避け、各商品のユニークな価値や味わいを消費者に直接伝えることを目指すニッセンの新しいプロジェクトです。 通信販売で構築したインフラを活用し、地域特有の食材を全国の消費者に安全かつ迅速に届けています。

ただ食品を販売するだけでなく、ローカルフード開発の経緯や製作者の情熱をストーリーで紹介するなど、ローカルフードの生産者と購入希望者をつなぐ、新たなミーティングスポットとして期待されています。

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株式会社ニッセン | ローカルフードプロジェクト(LFP)

 

日本におけるローカルフードの現状と課題

持続可能なフードシステムの実現は喫緊の課題ですが、地産地消を実現してローカルフードを根付かせるためには、解決すべき課題がいくつかあります。食糧の輸入依存や価格競争、農業従事者の高齢化など、日本が抱える問題をおさらいしてみましょう。

食料の自給率の低さと輸入依存問題

日本は、食料の大部分を海外から輸入しています。米を除く主要な穀物、例えば小麦や大豆は輸入に大きく依存しており、油脂類にいたっては97%(摂取カロリーベース)が輸入です。 仕入れ先の国で紛争が起こるなど食料の道が立たれることになれば、たちまち日本の食システムは機能不全に陥ります。

自給自足を促進するためには、野菜の種などが必要ですが、現在、そうした種も90%は海外産です。種がなければ農作物は作れませんので、それぞれの日本の自治体が種の重要性を理解して、採取し保管する努力が必要になります。

参照;

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/012.html

https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-5.pdf

 

農業従事者の高齢化

日本の農家の数は年々減少しています。 農林水産省の調べでは、2020年の総農家数は175万戸で、20年前と比較すると56%も減少したとされています。 

また、農業従事者の高齢化も農業の存続を脅かすリスクです。地域の農業従事者をサポートしながら、新たな農業参入者を育てることは、日本の農業の持続に欠かせない重要課題です。

参照:

https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0103/05.html

国際貿易と価格競争

国際的な自由貿易協定の影響で、外国産の安価な農産物が国内市場に流入。 外国産商品との激しい価格競争から、日本の農家は厳しい状況に陥っています。

現状を打破するために、経営の多角化、コストの削減、付加価値の高い製品開発など、さまざまな対策が求められます。

ローカルフードの具体例

古くから地元に伝わる伝統的な製法で脈々と受け継がれる食品には、その土地ならではの食文化やおいしさへの細かな工夫がいたるところに詰まっています。 他では真似できない伝統の味わい、奥深い食品づくりの技など、ローカルフードの魅力を知れば知るほど、地元で愛され続けるその理由がわかるはずです。

さまざまな地域のローカルフードを食すことは、地域の経済活動の応援にもつながります。おいしく食べながら、伝統的なローカルフードを応援しましょう。

ローカルフードその1:くらま路 3種佃煮詰め合わせ【3,240円(税込)】

京都左京区鞍馬にて1917年に創業した「くらま辻井」が提供する伝統の一品。 100年以上もの間、先人たちから受け継がれた製法で作られた伝統の味を今に伝えています。

看板商品のうなぎ山椒煮、山椒の豊かな香りと利尻産昆布の旨みが調和した木の芽煮、伝統の味わいがそのまま楽しめる深山しぐれの3つを組み合わせた「うなぎ山椒煮セット」と、山椒の実と葉がちりめんじゃこの旨みを引き立てる山椒じゃこと木の芽煮、深山しぐれをセットにした「山椒じゃこセット」があります。

伝統の技と現代の味覚を融合させた「くらま辻井」の伝統の逸品を楽しみましょう。
「くらま路 3種佃煮詰め合わせ」の詳細を見る

ローカルフードその2:福岡醤油店セット【3,380円(税込)】

創業120年以上を誇る福岡醤油店が、昔から伝わる伝統製法を用いて醸造する珠玉の醤油。 創業当時から使用されている醸造蔵や木桶、麹室を大切に使い、古き良き製法を守り抜いています。

特に注目すべきは、昔ながらのキリン式圧搾機を用いた圧搾方法。 6メートルものケヤキの木を使用し、キリンの首のように長く伸ばして圧搾します。不純物をなるべく出さず、70%までの歩留まりに抑えるこの方法により、切れの良い味わいと程良いまろやかさが生まれるのです。

福岡醤油店のキリン式圧搾機は、日本で現存する唯一のものとされており、その価値の高さは登録有形文化財に指定されるほど。 120年を超える歴史の中で受け継がれた贅沢な伝統製法で作られる醤油を味わってください。
「福岡醤油店セット」の詳細を見る

ローカルフードその3:かほく冷たい肉そば5食セット【3,240円(税込)】

かつては最上川舟運の紅花の集積地として栄えた河北町は、山形県のほぼ中央部にある人口約1万7千人の町です。現在は「雛とべに花の里」として知られています。

そんな河北町のそばといえば、冷たい肉そば。 雪が深々と降り積もる寒い冬でも、そば屋に訪れる町民の8~9割は冷たい肉そばを食べるというほど、深く地域に根付いており、子どもからお年寄りまでに愛される河北町名物の郷土食のひとつになっています。

本商品は、卵が産めなくなった親鳥(ひね鳥)を使用しているのも特徴。 ひね鳥は肉質が固く、廃棄されることも多いのですが、丁寧にしっかりと煮込むことで肉が柔らかく、非常においしくなっています。未利用資源を取り入れた河北町のローカルフードの魅力が堪能できる一品です。
「かほく冷たい肉そば5食セット」の詳細を見る

まとめ

地域で生産された食料を利用したローカルフードは、ただおいしいだけでなく、自然環境に配慮して生物多様性を保護したり、農業経営の効率化と収益を向上したり、幅広い側面で多くのメリットをもたらしてくれます。

ニッセンでは、育んだ有力な通信販売のインフラを活かし、全国的にローカルフードを広げていく「iiFOOD」プロジェクトを推進しています。未来につながるよりよいフードサイクルと地域発展のため、共にローカルフード活動を始めてみませんか。

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